音声入力はAIをダメにするのか?
最近、AIへの指示を音声入力で行うことが増えてきた。
実際かなり便利で、思考速度に近いレベルでAIへ指示を投げられる。 特に設計やアイデア出しでは、キーボードより圧倒的に速い。
ただ、使っていて思う。
「生の音声」をそのままAIへ流すと、かなり危険。
音声入力は「未整理の脳内」をそのまま出力する
キーボード入力には、自然と推敲が入る。
- 書きながら整理する
- 不要な言葉を消す
- 順番を並べ替える
- 自分でロジック化する
つまり、人間側で軽いコンパイルが走っている。
しかし音声入力は違う。
脳内のノイズがそのまま出る。
- 「えーと」
- 「なんか」
- 「あれっぽく」
- 「いい感じで」
こういう曖昧な言葉が大量に混ざる。
問題は、AIがその曖昧さを“善意で補完”し始めることだ。
AIは「忖度」を始める
例えば、
「なんか高級感ある感じで、Appleっぽくして」
と音声で指示したとする。
でも、「Appleっぽい」の意味はかなり曖昧だ。
AIによって解釈が変わる。
- 白ベースのミニマルUI?
- ガラスっぽい半透明?
- アニメーション重視?
- 余白を広く?
- フォント?
- 角丸?
人間同士なら空気感で通じることもあるが、AIはそこを無理に補完する。
結果として、
- 思ってたのと違う
- 無駄にオシャレになる
- UIだけApple風になる
- 肝心の機能要件が抜ける
みたいなズレが起きる。
つまりAIのリソースが、 本来の「実装」ではなく、
「ユーザーは何を言いたいんだ?」
を推測することに使われてしまう。
これが、AI開発で妙なズレが発生する原因の1つだと思っている。
解決策は「中間層」を入れること
なので最近は、
人間 → AI実行
ではなく、
人間 → 論理化AI → 実行AI
の形にしたほうが良いのではと思っている。
イメージとしては「参謀」を置く感じ。
AIに「まず整理させる」
例えば音声でこう投げる。
「Appleっぽい感じで、Obsidian連携のメモアプリ。黒系で」
これをいきなり実装させない。
まず別のAIに、
「今の内容をロジック化して整理しろ」
と指示する。
すると例えばこうなる。
-
アプリ種別 メモアプリケーション
-
外部連携 Obsidian APIとの統合
-
UI定義 ダークモード前提
-
デザイン方針 ミニマルUIを希望している可能性
-
未確定要素 「Appleっぽい」の定義が曖昧 → フォント・余白・アニメーション・ガラス表現など確認が必要
この段階で初めて、実行AIへ渡す。
すると、かなり精度が安定する。
これは「AIの使い方」というより設計の話
多分これ、単なるプロンプトテクニックではない。
システム設計に近い。
人間の思考は本来かなり非構造的だ。
一方、AIの実行は構造化された指示の方が圧倒的に強い。
つまり問題は、
「非構造の人間」と「構造化を求めるAI」の接続部分
にある。
だから中間層が必要になる。
音声入力はむしろ強力
誤解されそうなので最後に書くと、私は音声入力自体はかなり強いと思っている。
思考速度でAIへ指示できるのは大きい。
特にアイデア出しや設計初期では、キーボードより圧倒的に速い。
ただし、
「生入力をそのまま実行層へ流すな」
という話。
音声入力 ↓ 論理化 ↓ 実行
この3層構造は、今後かなり重要になる気がしている。