これからの「強い会社」とは?
30年近くこの業界にいると、「強い会社」の定義が何回も変わるのを見てきた。
以前は、とにかく実装力だった。 「この会社はJavaが強い」 「この会社はC++の化け物がいる」 そういう“職人集団”が確かに存在していて、実際、それで戦えていた。
でも最近、AIを横で動かしながら仕事をしていて、かなり強く感じることがある。
「あれ、実装って、かなり平等化され始めてないか?」
もちろん、細かい品質差はある。 設計力もある。 レビュー力もある。
ただ、「ゼロから全部人力で書けること」そのものの価値は、確実に下がっている。
AIがそこそこのコードを普通に出してくるからだ。 そうなると、開発会社の差って、単純な「実装速度」では付きづらくなる。
最近、自分の中でぼんやり見えてきたのが、 今後の開発会社はかなり極端に二極化するんじゃないか、という感覚だ。
ひとつは、「業務ドメイン特化型」。
金融、物流、医療、製造。 そういう業界知識に深く潜っている会社。
これは強い。
なぜかというと、現実のシステム開発って、コードを書くことより、 「その業界の変なルールを知ってるか」のほうが重要だったりするからだ。
AIは制度や仕様書は読める。 でも、 「この業界では昔からこう運用してる」 みたいな、謎の文化まではなかなか掴めない。
結局、最後は人間の経験値が効く。
もうひとつが、「超高速キャッチアップ型」。
こっちは逆に、業界を固定しない。
新しい案件が来たら、 「よし、まず調べよう」 から入る。
昔ならこれはかなり危険だった。 キャッチアップに時間がかかるし、実装負荷も重かった。
でも今はAIがいる。
未知の業界知識をAIで高速に整理し、 実装もAIで加速する。
すると人間側は、 「顧客が本当に困ってることは何か」 に集中できる。
最近付き合いのある受託会社が、まさにそんな感じだ。
毎回やることが違う。
「次これやります」 と言われても、 正直、 「それ本当にできるの?」 と思うこともある。
でも、気づくと形になっている。
もちろん、裏では相当泥臭い。 AIが全部やってくれるわけじゃない。
ただ、昔と違うのは、 「知らない領域に飛び込むコスト」 が劇的に下がったことだと思う。
これはかなり大きい。
逆に言うと、 「特定技術だけ強い」 というポジションは、かなり危険になる気がしている。
世界トップレベルなら別だ。 でも、中途半端な“技術特化”は、AI時代だと埋もれやすい。
最近は、 「何を書けるか」 より、 「何を解くべきか」 のほうが価値になってきている感じがする。
実装は、だんだん“手段”に戻っていく。
そして人間には、 ・業務理解 ・課題整理 ・顧客との会話 ・優先順位決め みたいな、もっと曖昧で泥臭い部分が残る。
たぶんこれ、 エンジニアの仕事が減るというより、 「エンジニアの重心」が変わってるんだと思う。