コンサルタントは「嘘つき」なのか —— 現場エンジニアとして感じてきたこと

長くIT業界にいると、どうしても苦手な職種というものが出てくる。

エンジニア同士なら多少の意見の違いはあっても、最終的にはコードや設計の話になる。ところが、なぜか昔から相性が悪いと感じていたのが「コンサルタント」という人たちだった。

もちろん全員ではない。

ただ、若い頃の私はかなり乱暴に、

「コンサルタントなんて夢物語を売る仕事だろう」

くらいに思っていた。

そんなことをふと思い出した。

毒入り饅頭との遭遇

昔、とあるWebサービスの立ち上げ案件に参加したことがあった。

そこで持ち込まれた企画は、実に魅力的だった。

こんな機能を実現できれば競合を圧倒できる。 ユーザーも増える。 売上も伸びる。

資料だけ見れば、誰だって賛成したくなる内容だった。

ところが、実際に設計に入ると雲行きが怪しくなる。

実現方法が存在しない。

存在するとしても数年単位の開発が必要。

あるいは技術的リスクが高すぎて、サービスそのものが成立しない。

現場のエンジニアは当然そこを調べる。

そして「難しいです」「危険です」「無理です」と説明する。

だが、この瞬間に会議室の空気が変わる。

夢を見ていた人たちは現実を突きつけられるからだ。

正直、若い頃の私はここで思っていた。

「最初からそんな話を持ってくるなよ」

と。

でも、彼らも別に馬鹿ではない

歳を取ってから少し考え方が変わった。

コンサルタントも別に嘘をつこうとしているわけではない。

少なくとも多くの場合は。

彼らが売っているのは技術ではなく、「未来」だ。

顧客が欲しいのも技術ではない。

売上向上だったり、新規事業だったり、市場シェアだったりする。

つまり、彼らの仕事は未来を語ることなのだ。

一方で、エンジニアの仕事は現在を語ることである。

サーバーの性能はこうだ。

開発期間はこれくらい必要だ。

この設計では破綻する。

この機能は実現できない。

夢を見る人と、現実を見る人。

そもそも見ている方向が違う。

だから衝突する。

ある意味では当然なのかもしれない。

現場にいると「嘘」に見える

ただし、現場側からすると話は別だ。

スケジュールが破綻した時。

仕様の矛盾が噴出した時。

顧客から詰められた時。

その場にいるのは大抵エンジニアである。

夢を語った人ではなく、それを実装する人間が矢面に立つ。

だから現場の人間ほど、

「最初から無理だったじゃないか」

という感情を持ちやすい。

私も何度もそう思った。

そして、その積み重ねが

「コンサルタントは嘘つきだ」

という偏見を生むのだと思う。

最近は少しだけ見方が変わった

最近はAIの提案を見ていて、少し似たものを感じる。

AIは素晴らしいアイデアを大量に出してくる。

夢のある構成図も描いてくれる。

しかし、実際に実装しようとすると細かな問題が次々に出てくる。

結局、最後に泥をかぶるのは現場の人間だ。

その意味では、AIもコンサルタントも少し似ている。

可能性を語る存在と、現実を成立させる存在。

どちらも必要なのだろう。

ただ、長年現場にいる人間としては、やはり後者に感情移入してしまう。

今日もまた、「それ、本当に動くの?」という資料を見ながら、そんなことを考えていた。