ITの世界は思ったより狭い

IT業界は広い。

システム開発、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、AI、データ分析。

世間から見ると全部まとめて「IT」なのだろうが、実際に現場で働いている人間からすると、かなり別の職業に近い。

医療で言えば、内科と外科と産婦人科と歯科を全部まとめて「医者」と呼んでいるようなものだ。

もちろん基礎知識は共通している。

しかし、だからといって専門外のことができるわけではない。

先日、妻からMicrosoft 365のCopilotについて聞かれた。

「これってどう使うの?」

正直に言うと、よく分からない。

私はMacを使っているし、Microsoft製品も最低限しか触らない。

もちろん、調べればある程度は分かると思う。

でも、それは「詳しい人」とは違う。

ネットで検索して調べるのと、日常的に使い込んでいるのとでは話が別だ。

そんなことを考えていたら、今度は親の知人から電話がかかってきた。

「会社のシステムでトラブルが起きていて困っている。見てもらえないか」

申し訳ないが断った。

冷たいようだが、私にはそのシステムの構成も分からないし、業務内容も知らない。

下手に触って悪化させたら目も当てられない。

若い頃なら興味本位で首を突っ込んでいたかもしれない。

しかし長くこの業界にいると、自分が分からない領域がどれだけ広いかを思い知らされる。

知らないことを知らないまま触るのは、勇気ではなく無謀だ。

だから最近は、できないことはできないと言うようにしている。

その代わり、

「こういう業者を探した方がいいですよ」

とか、

「まずは保守契約先に連絡した方がいいですよ」

という話はする。

問題を解決するのではなく、解決できる人を探す手伝いをする。

それくらいがちょうどいい。

結局のところ、私はITエンジニアだが、世間が思っているほど何でもできるわけではない。

たぶん産婦人科の先生に盲腸を見せる人はいない。

でもなぜかITだけは、

「パソコン詳しいんでしょ?」

「Wi-Fiつながらないんだけど」

「会社のシステム壊れたから見て」

と全部同じ箱に入れられる。

まあ、それだけITという仕事がよく分からない業界なのだろう。

そして今日も私は、Copilotの使い方をChatGPTに質問している。