人月商売の終わりは歓迎だ。でも、その先に待っているのは「選別」かもしれない。
今朝、SNSを眺めていて少し驚いた。
昔ながらの日本のSI会社に関わるPOST。
そのスレッドで、こんな話が出ていた。
「とうとう、大手SIの****会社でもClaude Codeを導入してみるらしい。」
思わず、
「ついにここまで来たか」
と思った。
これまで日本のSI業界は、一番最後までAI化が進まない世界だと思っていた。
人月契約。 レビュー文化。 稟議。 セキュリティ。 何重にも積み重なった承認フロー。
AIとは相性が悪そうな要素ばかりだ。
しかし、その世界にも少しずつ波が押し寄せているらしい。
私は、この変化そのものは歓迎している。
長年続いてきた日本の人月商売には限界がある。
人数を増やし、 工数を積み上げ、 会議を重ねる。
それで利益を生み出す構造は、AI時代にはあまりにも効率が悪い。
Claude Codeのようなエージェントを使うと、一人のエンジニアが以前の何倍ものアウトプットを出せる場面がある。
もちろん、AIはまだ間違える。
レビューも必要だ。
設計も必要だ。
それでも、生産性が大きく変わることは否定できない。
人月商売が終わるのであれば、それ自体は悪いことではないと思う。
問題は、その次に何が起きるかだ。
人月商売が終わるということは、
必要な人の数も減る
ということでもある。
例えば十人で開発していた案件が、
AIを前提にすれば六人、
あるいは四人で回るようになる。
企業から見れば当然そうする。
利益を出さなければならない以上、それは自然な経営判断だ。
そうなると始まるのは、
選別
である。
これまで評価されていたものが、そのまま評価されるとは限らない。
AIに適切な指示を出せる人。
設計意図を理解できる人。
AIが書いたコードを短時間でレビューできる人。
大量のコードの中から危険な変更だけを見抜ける人。
そういう人の価値は、むしろ上がっていくだろう。
一方で、
「仕様書どおりに実装する」
という仕事だけでは厳しくなる。
AIが最も得意なのは、まさにそこだからだ。
さらに、日本のSIにはもう一つ現実がある。
開発の多くはSESやフリーランスが支えている。
もし人数を減らすとしたら、どこから減らすだろうか。
正社員よりも契約社員。
契約社員よりも外部パートナー。
そしてSESやフリーランス。
契約を調整しやすいところから見直される可能性は高い。
だから私は、
AIによる最初の影響は、立場の弱いところから現れるのではないかと思っている。
もちろん、明日からすべてのSI企業がClaude Codeを導入するわけではない。
セキュリティ。
ライセンス費用。
ガバナンス。
クリアすべき課題は多い。
それでも、一度でも「同じ品質のものが半分の人数で作れる」と証明されてしまえば、流れは止まらない。
導入しない会社の方が競争力を失ってしまう。
時間の問題なのだと思う。
だから、私もAIを触り続けている。
Claude Code。
Codex。
新しいエージェント。
毎日のように試している。
好きだからという理由もある。
しかし、それだけではない。
正直に言えば、
置いていかれたくない。
その気持ちも大きい。
SNSでは、
「AIで仕事が楽になった」
という話をよく見る。
もちろん、それも事実だろう。
でも、その裏側では、
「誰の仕事が減るのか」
という話も同時に進んでいる。
AIは全員を幸せにする魔法ではない。
生産性が上がるということは、必要な人数が減るということでもある。
私は人月商売が終わることには賛成だ。
しかし、その先にある世界は決して楽観できるものではない。
選別は、おそらく始まる。
そして、その対象は他人だけではない。
私自身も、その選別される側に回る可能性は十分ある。
だから今日も新しいツールを試し、ブログを書き、英語を勉強し、AIを触る。
この業界にいる限り、「もう大丈夫だ」と思える日は、おそらく来ない。
因果な商売である