AnthropicとOpenAIは、そもそも目指しているAIが違う

前回のブログで、GPT-5.6 Solを試した感想を書いた。

その中で、「まだFableの方が一段頭がいいように感じる」と書いたのだが、あとで読み返して少し表現が正確ではなかったと思った。

これは単純に頭の良さを比べている話ではない。

AnthropicとOpenAIは、そもそもAIの設計思想が違うのである。

毎日両方を使っていると、その違いが少しずつ見えてくる。

私の印象では、Anthropicは「より賢いAI」を作ろうとしている会社だ。

複雑な問題を渡すと、人間では思いつかないような整理の仕方や設計を提案してくることがある。

以前、Fableにかなり複雑な改修を任せたことがある。仕様の調査から改修方針の検討、実装まで、一時間以上考え続けた末に、ほぼそのまま採用できるレベルの成果を返してきた。あれは正直、人間でも簡単にはできない仕事だった。

一方で、頭が良すぎるのか、ときどきこちらの意図を飛び越えて独自の最適解を目指してしまうこともある。

これが良い方向へ転べば驚くような成果になる。

逆に外れると、人間が「そこまでは頼んでいない」と軌道修正することになる。

対するOpenAIは少し違う。

私には、「人間と一緒に仕事をするAI」を目指しているように見える。

以前のOpenAIのモデルは、とにかく指示を細かく書かなければならなかった。

こちらの考えや前提を十分に説明しないと、「そこは察してほしかった」という部分が、そのまま出力に表れてしまうことが多かった。

だから私は長い間、OpenAIを補助的な作業に使い、設計や難しい判断はClaudeへ任せることが多かった。

ところが、Solを使って印象が変わった。

基本的な性格は変わっていない。

頼んだことを着実にこなすタイプであることは同じだ。

しかし、人間の少し曖昧な指示でも意図をかなり汲み取ってくれるようになった。

この進化は思っていた以上に大きい。

実装、調査、文章作成のような日常的な仕事なら、「もうSolで十分ではないか」と思う場面がかなり増えた。

それでも私は、未知の問題を解かせるなら今でもFableを選ぶ。

発想力や設計力では、まだ一歩抜けていると感じるからだ。

つまり、「Fableの方が頭がいい」というより、「目指しているものが違う」と言った方が正確なのだと思う。

Anthropicは、AIそのものをより賢くしようとしてきた。

OpenAIは、人間と協調しながら確実に仕事を終わらせるAIを育ててきた。

最近のSolを見ていると、その二つの方向性が少しずつ近づいてきたようにも感じる。

だから以前ほど、「Claudeが使えないと困る」という場面は、これから減ってくるだろう。

ライバル同士がお互いの長所を取り込み始めた。

AI同士が競争してくれる限り、一番得をするのはユーザーである。