メガベンチャー技術部長という「賭け」に負けた日の話

40歳手前くらいの頃、私はかなり調子に乗っていたと思う。

あるメガベンチャーの新規事業立ち上げで、エンジニア側の責任者として声をかけられた。いわゆるヘッドハンティングというやつだ。

役職は技術部長。

年収もかなり上がったし、周囲から見れば「もうサラリーマンとしては上がりじゃない?」みたいなポジションだった。

当時の私は、たぶん本気でそう思っていた。


でも、人生ってわからない。

私がやっていた事業とほぼ同じモデルの競合は、その後きっちり成功した。今でも巨大サービスとして残っている。

一方、こちらは伸びなかった。

理由を細かく分析し始めるとキリがない。 戦略、タイミング、資金、組織、人間関係、市場の流れ。

もちろん自分の実力不足もあったと思う。

結果として、私はその会社を去ることになった。

まあ、簡単に言えば「お払い箱」である。


しかも、その後がさらにひどかった。

私が辞めたあと、会社自体が倒産。

さらに社長が株価操縦で逮捕。

ドラマかよ、と思った。

当時はさすがにかなり精神的にきつかった。 「自分は何を信じて賭けていたんだろうな」と。


今振り返ると、ベンチャーって本当にバクチだと思う。

もちろん努力は必要。 技術力も戦略も大事。

でも最後は、自分では制御できないものが多すぎる。

経営陣が暴走することもあるし、 資金繰り一発で全部吹き飛ぶこともある。

どれだけ現場が頑張っても、どうにもならないことは普通にある。

私はその賭けに負けた側だった。

ただ、そこで人生終了かというと、別にそんなこともない。


今の生活は、別に不幸ではない。

フリーランスとして、それなりに自由にやれているし、技術の仕事も続けている。

でも、たまに考える。

「もしあの事業が成功していたら」 「もしあのまま役員コースだったら」

まあ、考えたところで何も変わらないんだけど、人間だからたまにはそういうことも思う。


…と、長々と書いたけど、

結論、特にない。

ベンチャーはバクチで、自分はそれに負けた。それだけ。 面白かったといえば面白かった。

それでいい。

当時の「技術部長」って書かれた名刺はまだ机の引き出しに残ってて、たまに見つけて「若かったな」と笑う。

あえて捨てる気にもなれないし、かといって人に見せる気もない。

会社は消えたし肩書きも消えたけど、当時覚えた技術はわりと普通に今も使ってる。

本気で取りに行ったものより、ついでに覚えたものの方が長く残ってたりする。

人生、そんなもんかと思う。

そのへんの中途半端な感じで、まあ、気楽にお仕事してます。