日本が遅れている理由を、皇位継承問題で見た気がする

あまり政治の話を熱く語るつもりはない。

ただ、最近ニュースで皇位継承をめぐる議論を見ていて、「日本がなかなか変われない理由って、こういうところなんだろうな」と思った。

現在の皇室典範では、皇位を継承できるのは男系男子に限られている。

そして次の世代の男子皇族は、現在の天皇の甥にあたる若い皇族、ただ一人しかいない。

かなり危うい制度である。

もちろん彼が将来結婚し、男子の子供が生まれる可能性はある。しかし、そんなものは誰にも分からない。

側室制度などは議論すらできない時代において、普通に考えれば、男系に限る制度のほうを見直す話になる。

女性天皇や女系天皇を認めればいいのではないか。

女性天皇と女系天皇は別の話だが、少なくとも「女性だから天皇になれない」という現在の制度に違和感を持つ人は多い。

ところが政治の世界から出てきた案の一つが、旧宮家の男系男子を皇族の養子として迎えるというものだった。

最初に聞いたとき、正直「そこまでやるのか」と思った。

戦後、民間人として何十年も暮らしてきた家系から、「男系男子の血筋だから」という理由で皇族に入ってもらう。

そこまでして女性を皇位継承の対象にしたくないのか。

私にはそう見えてしまう。

日本のおじさんの価値観が、そのまま国の制度に残っている

私は50代なので、完全におじさん側の人間である。

だから自戒も込めて言うが、日本のおじさん世代には、まだかなり強い男尊女卑の価値観が残っていると思う。

もちろん全員ではない。

しかし会社で長く働いていれば、そんなものはいくらでも見てきた。

女性管理職を増やそうと言いながら、「やっぱり女は感情的だから」と平気で言う。

国際関係についても古い認識のままだ。国際化が必要だと言いながら、中国や東南アジアの話になると、どこか上から目線になる。

日本は先進国で、自分たちはアジアのリーダーだという感覚がまだ抜けていない。

いつの時代の話をしているのだろう。

中国の技術力は急速に上がり、AIやEVでは日本企業が追いかける側になっている分野もある。東南アジアの国々も成長を続けている。

それでも日本のおじさんたちの頭の中には、1980年代や1990年代の日本が残っている。

日本製品は世界一。中国は安物を作る国。東南アジアは日本より遅れている。女性は男性を支える側。

さすがに表では言わなくなった。

でも、本当に価値観まで変わったのだろうか。

私はかなり疑っている。

国会議員は、日本社会のおじさんの代表でもある

国会議員だけが特別に古いわけではないと思う。

むしろ日本社会の上層部を、そのまま濃縮したような存在なのではないか。

年齢が高く、男性が多い。長年同じ世界で生き、過去の成功体験を持っている。

これは日本企業の社長や役員とよく似ている。

そして彼らが国や会社の重要な意思決定をする。

だから日本は変わらない。

現実として男系男子だけでは皇位継承が難しくなっている。

それでも女性天皇や女系天皇の議論を進めるより、旧宮家の男性を養子にするという案が出てくる。

会社でも同じだ。

今のシステムでは限界が来ているのに、システムそのものを変えようとはしない。古い仕組みを維持するために、Excelと手作業を追加する。

現実に合わせて制度を変えるのではない。

制度を守るために、現実のほうを無理やり曲げる。

日本は「変えられない」のではなく「変えたくない」

日本はDXが遅れている。ジェンダーギャップも低い。意思決定も遅い。

私は以前、これは技術力や能力の問題だと思っていた。

最近は違う気がしている。

日本は変えられないのではない。

変えたくないのだ。

自分たちが正しいと思ってきた価値観を否定することになるからだ。

特に組織の上にいる人ほど難しい。

40年間「男が上」「日本はアジアの先進国」「日本のやり方は優秀だ」と思って生きてきた人が、60歳や70歳になって突然価値観を変えられるだろうか。

たぶん難しい。

私だって同じだ。

50代になり、若い人の考えを見て「それは違うだろう」と思うことはある。

ただ、そのとき一度は考えたほうがいい。

本当に相手が間違っているのか。

それとも、自分が古くなっただけなのか。

皇位継承の議論を見ていると、日本の一番上にいるおじさんたちは、その問いを自分に投げているのだろうかと思う。

女性を認めるより、何十年も民間人として暮らしてきた男系男子を探して皇族に迎える。

昨日まで同じ民間人だった人を突然「さま」と付けて呼べるのか?

そこまでして守りたいものは、本当に伝統なのだろうか。

単に、自分たちが信じてきた価値観を捨てられないだけではないのか。

日本が世界から遅れている理由を、少しだけ見た気がした。