いくら環境を整えても、結局Fable 5に課金したほうが強い

今、期間限定でFable 5を使っている。

普段から使っているわけではない。Claude Codeユーザー向けに限定解禁されているので、せっかくだから仕事で試しているだけだ。

先日も書いたが、やはり賢い。細かい指示をしなくても意図を拾うし、こちらが「あれも書いて、これも注意して」とガイドラインを並べる必要がかなり減った。

ただ、使っていて別のことを考えた。

これまで自分がClaude Codeの環境を必死に整えてきた努力は何だったのだろう。

CLAUDE.mdを整理し、ADRを残し、Skillを作り、AIが迷わないようにプロジェクト構成を見直す。古いドキュメントも掃除してきた。

もちろん、これらは今でも意味がある。

しかし、モデルが一段賢くなると、それまで人間が苦労して埋めていた穴を普通に飛び越えてくる。

少し悲しい。

AIの世界はソシャゲに似ている

Fable 5を使っていて思い出したのが、ソシャゲの重課金勢だ。

無課金ユーザーが何時間もかけて攻略法を考え、手持ちのキャラクターを工夫して強敵を倒そうとしている横で、課金ユーザーが新しいガチャの強キャラを引いて普通に殴り倒す。

AIもだんだん似た世界になってきた。

こちらが時間をかけて整えた環境を、新しいモデルが何もなかったように飛び越えていく。

「俺が半年かけて作った環境は何だったんだ」

そんな気持ちになる。

だが、仕事で使っている以上、そこで意地を張っても仕方がない。

仕事なら課金したほうが早い

趣味なら無料モデルを工夫して使うのも楽しい。

「このプロンプトなら性能を引き出せる」と研究するのも、それ自体が目的なら何の問題もない。

しかし仕事では、AIを使うこと自体が目的ではない。

最後に成果物を出せばいい。

月数万円の差で作業時間が大きく減るなら、払ったほうが早い。

少なくともフリーランスの場合、自分の時間には値段が付いている。AI料金を節約するために何時間もプロンプトを調整していたら、本末転倒だ。

少し前まで「プロンプトエンジニアリング」という言葉が流行っていた。

指示の出し方は今でも重要だが、モデルそのものの性能差を人間の工夫だけで埋めるのは、だんだん難しくなっている気がする。

軽自動車の運転技術を必死に磨いて、スポーツカーと高速道路で勝負するようなものだ。

腕は大事だが、性能差が大きすぎれば普通に負ける。

では、人間は何をするのか

最近は、AIへの指示方法より「仕事の分け方」を考える時間のほうが増えた。

単純な作業ならCodexで十分。設計や調査はClaudeの通常モデルに任せる。そして本当に難しい仕事なら、Fable 5のような上位モデルを使う。

全部を最上位モデルに投げれば楽だが、今回Fable 5を一日使ってみて別の問題にも気づいた。

気が利く分、割り当てられたトークンをかなりの勢いで消費する。

賢い部下ほど給料が高い。

当たり前といえば当たり前だ。

結局、人間の仕事は、仕事の難易度を判断して適切なAIに渡すことになりつつある。

昔のプロジェクトマネージャーに少し似ている。

違うのは、部下が24時間働き、文句を言わず、金を払うほど露骨に賢くなることだ。

AI時代も結局、金なのか

AIによって個人でも大企業と戦える。

そんな話をよく聞くし、私も基本的にはそう思っている。

しかし同時に、AIの世界にも普通に資本の差が入り始めている。

毎月数千円使う人と、数万円を払う人では、使えるトークン量やモデルが違う。企業ならAPIにさらに大きな金額を投入できる。

「AIで誰でも平等になった」というのは、少し早かったのかもしれない。

結局、強いモデルに課金できる人間が有利になる。

今回、期間限定でFable 5を使って、その現実をかなり感じた。

確かに賢い。

環境整備やプロンプトの工夫を、一段上のモデルが力技で飛び越えていく。

そして期間限定が終われば、私はたぶんいつものモデルに戻る。

理由は簡単だ。

AI時代も、最後に人間を現実へ引き戻すのは請求書である。