半導体メーカーがトヨタを超えた日
ニュースを見て少し考え込んでしまった。
とある日本の半導体関連企業の時価総額が、あのトヨタを超えたという話だ。
もちろん、時価総額というものは実態経済そのものではない。期待も入るし、バブル的な要素もある。企業の体力や売上規模をそのまま表しているわけではない。
それでも象徴的な出来事だと思う。
時代の主役が変わったのだ。
AI需要が市場を動かしている
理由はわかりやすい。
AIである。
生成AIが流行した結果、世界中でデータセンター建設競争が始まった。
そのためにはGPUが必要であり、そのGPUを作るためには最先端の半導体が必要になる。
だから市場のお金は半導体へ流れる。
ある意味で非常に単純な話だ。
そして、日本企業がその流れの中で一定の存在感を持っていることは素直に安心材料でもある。
少なくとも完全に蚊帳の外ではない。
しかし、自動車産業ほどの雇用は生まれない
ただ、ここで少し冷めた見方もしてしまう。
AI産業は本当に雇用を生むのだろうか。
半導体工場は確かに作られる。
工場で働く人も増える。
しかし、自動車産業と比べたら規模が違う。
自動車産業は完成車メーカーだけではない。
部品メーカー、整備工場、販売店、物流会社、ガソリンスタンド、保険会社。
無数の周辺産業を生み出してきた。
一方でAIはどうか。
巨大データセンターを作る。
しかし、その先はクラウドの中だ。
利用者はブラウザからアクセスするだけである。
驚くほど人手を必要としない。
富はますます集中する
コンピュータ産業の時代ですら、まだ裾野は広かった。
パソコンメーカーがあり、周辺機器メーカーがあり、ソフトウェア会社があり、販売店があった。
だがAIは違う。
巨大な計算資源を持つ企業に利益が集中しやすい。
データセンターを持てる企業。
半導体を作れる企業。
世界規模のAIモデルを開発できる企業。
勝者総取りの色が強い。
だから富の偏在はさらに進むのだろう。
そして税金の話になる
そうなると、当然ながら政治は動く。
儲かっている企業からもっと税金を取ろうという話になる。
理屈としては理解できる。
しかし、企業も馬鹿ではない。
税金が高ければ、より有利な国へ移る。
すると税収が減る。
税率を上げる。
さらに逃げる。
そんな負のループも十分あり得る。
正直、このあたりは政治家や経済学者に任せるしかない。
私には答えがない。
生き残る側として考える
ただ一つだけ確かなことがある。
私は政治家ではない。
国家の制度設計をする立場でもない。
目の前のトレンドが正しいのか間違っているのかを論じても、たぶん世界は変わらない。
ならば考えるべきことは一つだ。
この流れの中で、自分はどう生き残るのか。
AIによって仕事が減るのか増えるのか。
そんなことは正直わからない。
だが、少なくとも市場がどこにお金を流しているのかは見える。
半導体に流れている。
AIに流れている。
ならば、その周辺で価値を出せる人間になるしかない。
気づけば、もう住人だった
半導体メーカーがトヨタを超えた。
AIが世界を変える。
富は集中する。
税制は揉める。
たぶん全部その通りなのだろう。
しかし、そんなことを考えながら今日も私はClaudeとChatGPTを行ったり来たりしている。
AIが仕事を奪うのか、AIが新しい産業を生むのか。
そんな議論を横目に、私はAIに英文チェックをさせ、コードレビューをさせ、ブログの構成まで相談している。
結局のところ、時代を分析するより先に、自分自身がすでにAI経済圏の住人になっていたのである。