40代・未経験エンジニア転職の「現実」——東工大卒が時給1,000円で潜り込んだ現実
最近、「未経験からエンジニアへ」みたいな広告をまたよく見る。
自由な働き方。リモート。高収入。 もちろん嘘ではない。実際、この業界には夢がある。
ただ、現場に長くいる側からすると、どうしても引っかかる部分がある。
年齢の話だ。
これは綺麗事ではどうにもならない。
年齢で何が変わるのか
かなり乱暴に言えば、未経験採用の空気感はこんな感じだと思う。
- 20代 → 普通に可能性がある
- 30代 → 前職経験の転用が必要
- 40代 → 相当厳しい
理由は単純で、IT業界は覚える量が多すぎる。
しかも、教育する側はだいたい20代後半〜30代のリーダークラスだったりする。 その現場で、年上の未経験者を育てるのは、企業側からするとかなり勇気がいる。
技術だけの問題じゃない。 チーム運営も含めてコストが高い。
だから、40代未経験というだけで、履歴書の段階で止まるケースは珍しくない。
残酷だけど、これは現実だと思う。
ただ、一度だけ「極端な例」を見た
昔、ある中小のペットフード会社向けにシステムを作ったことがある。
規模はそこまで大きくない。 でも業務が独特で、運用を理解している保守要員が必要だった。
そこで採用された人がいた。
40代。 実務未経験。
ここだけ聞くと、「ほら、40代でもいけるじゃないか」という話に見える。
でも、スペックが普通じゃなかった。
- 東京工業大学卒(工科系大学としては国内最高)
- 超大手企業出身
- リストラ後
- 時給1,000円レベルでも構わないという条件
正直、採用側からすると破格だったと思う。
「論理力は保証済み」 「社会人経験もある」 「しかも安い」
企業としては、若手未経験を育てるより、そちらを選ぶ理由があった。
だから成立した。
プライドを捨てられるか
印象的だったのは、その人が妙なプライドを出さなかったことだ。
大企業出身なのに、年下エンジニアのコードを黙々と読んでいた。
わからないところは普通に聞く。 泥臭い保守もやる。
たぶん、あれができなかったら続かなかったと思う。
40代未経験でこの業界に入る場合、結局最後はそこになる。
過去の肩書きを一回捨てられるか。
「新人」として振る舞えるか。
そこがかなり大きい。
キラキラ広告では出てこない話
もちろん、これはかなり極端なケースだ。
でも逆に言えば、40代未経験で入るには、あそこまで条件を積まないと難しい、ということでもある。
- 学歴
- 前職ブランド
- 異常な低単価
- 柔軟性
- プライドを捨てる覚悟
全部乗せに近かった。
だから最近の「誰でも簡単にエンジニアへ」みたいな広告を見ると、少し複雑な気持ちになる。
夢を語るのは悪くない。 ただ、現実まで消してしまうと、後で本人が一番苦しくなる。
とはいえ、否定したいわけではない
誤解してほしくないのは、私は「40代は無理だから諦めろ」と言いたいわけではない。
むしろ逆で、挑戦するなら、幻想を捨てた方が強いと思っている。
「未経験でも年収800万!」みたいな話を信じるより、
- 最初は安くてもいい
- 泥臭い仕事でもやる
- 過去の肩書きにしがみつかない
そういう覚悟の方が、現実にはずっと武器になる。
あの東工大卒の人を見ていて、結局最後に残るのは「頭の良さ」だけじゃなく、「降りられる強さ」なんだろうなと思った。