AIゴールドラッシュの勝者は誰か? そして、本当のツルハシ屋は誰なのか
最近、AI企業のIPOや大型資金調達のニュースをよく見る。
何十億ドル調達したとか、企業価値が何兆円になったとか、そういう話だ。
そのたびに思う。
AI業界は今、完全にゴールドラッシュである。
ゴールドラッシュで本当に儲かったのは誰だったのか。
歴史好きなら一度は聞いたことがある話だろう。
金を掘り当てた一握りの人ではない。
彼らにスコップを売った商人。
テントを売った商人。
宿を提供した商人。
つまり「金を掘るための道具」を売った人たちだった。
だから投資の世界ではよく言われる。
「金鉱を探すより、ツルハシを売れ」
と。
ではAI業界のツルハシ屋は誰なのだろう。
最初は私も単純に考えていた。
OpenAIやAnthropicだ。
彼らはAIを売っている。
つまりAI時代のツルハシ屋だろう、と。
ところが最近、この考えに少し疑問を持ち始めた。
なぜなら、OpenAIもAnthropicも別に大儲けしているわけではないからだ。
むしろ莫大な投資を受けながら、さらに莫大な金額を使っている。
GPUを買う。
データセンターを建てる。
研究者を集める。
新しいモデルを訓練する。
次のモデルを作る。
またGPUを買う。
話を聞いていると、まるで巨大な採掘機で山を掘り続ける鉱山会社のようである。
そう考えると見方が変わる。
OpenAIやAnthropicはツルハシ屋ではない。
むしろ彼ら自身が巨大な金鉱夫なのではないか。
「AGI」という伝説の金脈を探して掘り続けている人たちだ。
もちろん途中で採れた砂金をAPIという形で販売している。
だが本命はもっと先にある。
だから利益よりも成長が重視される。
今は採掘フェーズなのだ。
では本当のツルハシ屋は誰なのか。
候補はいくらでもいる。
まずGPUを売っているNVIDIA。
データセンター事業者。
電力会社。
半導体製造装置メーカー。
冷却設備メーカー。
AIブームが続こうが終わろうが、とりあえず設備は売れる。
このあたりは非常にツルハシ屋っぽくはある。
数十年後に歴史を振り返ったとき、
「AGIを目指していた会社より、GPUを売っていた会社の方が儲かっていたよね」
と言われるのかもしれない。
あるいは逆に、
「NVIDIAですら単なる採掘会社だった」
と言われる未来が来るのかもしれない。
正直なところ、今は誰が金鉱夫で誰がツルハシ屋なのか分からない。
ただ、一つだけ確実に言えることがある。
少なくとも、私の周りのエンジニアたちはまだ大金持ちにはなっていない。
AIのおかげで仕事は速くなった。
便利にもなった。
だが給料が10倍になったという話は聞かない。
結局のところ、ゴールドラッシュの時代もAIの時代も、ほとんどの参加者は案外そんなものなのかもしれない。
遠くで「億万長者が生まれた!」というニュースを眺めながら、今日も我々は普通に働いているのである。