【エンジニアの独立】「民間資格はほぼ意味がない」と30年のベテランが断言する理由

先日、メールボックスを整理していたら、ウェブ解析士の営業メールが届いていた。

懐かしい。

実は私も、昔ウェブ解析士の資格を取ったことがある。

フリーランスとして独立する前の話だ。

当時の私は、「少しでも自分を大きく見せたい」「独立したときのアピール材料が欲しい」と思い、いろいろな資格を取っていた。

PMPも取ったし、IT系の資格もかなり漁った。

しかし、30年近くエンジニアとして働いてきた今、かなり明確な結論が出ている。

民間資格の大半は、ほとんど意味がなかった。

時間も金も使ったが、それらの資格が直接仕事を持ってきてくれた記憶はほぼない。

もちろん例外はある。OracleやAWSの最上位クラスの資格など、特定の分野では案件獲得に役立つこともある。

ただ、それは資格全体から見ればごく一部の話だ。

民間資格は「資格ビジネス」の格好の養分

ウェブ解析士にしてもPMPにしても、資格を運営する側には当然ビジネスがある。

受講料、受験料、教材費。さらに資格によっては、合格した後も更新料や維持費が必要になる。

私も実際に資格を取ったものの、維持費の高さにアホらしくなり、そのまま放置したものがある。

資格を取るまでは「これで仕事につながるかもしれない」と思う。

ところが、実際に独立してみると誰も聞いてこない。

「その資格を持っていますか?」

そんな質問をされた記憶はほとんどない。

資格を維持するために金を払い続ける一方で、仕事への効果はよく分からない。

途中から、私は資格を維持しているのか、資格団体を維持しているのか分からなくなってきた。

医師免許とは違う。持っていなくても仕事はできる

もちろん、医師免許や弁護士資格、建築士のような国家資格や業務独占資格は別だ。

資格がなければ、その仕事自体ができない。

しかし、IT系やマーケティング系の民間資格は違う。

ウェブ解析士を持っていなくてもアクセス解析はできるし、PMPを持っていなくてもプロジェクトマネージャーはできる。AWS資格を持っていなくてもAWSは触れる。

結局、クライアントが知りたいのは、

「で、あなたは何ができるの?」

これだけだ。

どんなシステムを作ったのか。どんな障害を解決したのか。どの程度の規模のプロジェクトに関わったのか。

30年近く仕事をしてきたエンジニアなら、資格より業務履歴のほうが圧倒的に情報量が多い。

ただし、OracleやAWSの最上位資格は例外になることがある

すべての民間資格が完全に無意味だと言うつもりはない。

たとえばOracleの上位資格や、AWSの最上位クラスの資格。

こうした資格は取得難易度そのものが高く、特定分野の専門家を探している案件では評価材料になることがある。

会社側がパートナー認定や技術者数の要件を満たすため、有資格者を必要とするケースもある。

この場合、資格は実際に市場価値を持つ。

ただ、それでも資格だけで仕事ができるわけではない。

Oracleの最上位資格を持っている人と、Oracleを10年以上現場で運用してきた人。

私が仕事を頼むなら、まず後者の業務履歴を見る。

資格が効くのは、あくまで実績を補強するときだ。

資格を1個取る暇があるなら、見込み客1人と仲良くなれ

フリーランスとして最も重要なのは、資格欄を埋めることではない。

案件をくれる人とのつながりだ。

実務でほとんど使わない資格の勉強に何十時間も使うなら、その時間で見込み客になりそうな人と知り合ったほうがいい。

ブログを書いてもいい。LinkedInで発信してもいい。昔の仕事仲間に連絡してもいい。

少なくともフリーランスにとっては、そのほうが売上につながる可能性が高い。

資格を10個持っていても、あなたの存在を誰も知らなければ仕事は来ない。

逆に、「あの人ならこの仕事を任せられる」と思ってくれる人が1人いれば、仕事は来る。

独立してから痛感したのは、この単純な事実だった。

結論:ベテランに必要なのは「資格」ではなく「業務履歴」

独立前の不安な気持ちはよく分かる。

私自身、何もない自分を少しでも強そうに見せたくて、資格を取った。

資格名が履歴書に並ぶと、少し安心する。

しかし、30年近く働いた今になって思う。

あの時間、もっと人に会っておけばよかった。

もちろん、OracleやAWSの最上位資格のように、明確な目的があり、市場で評価される資格なら取る意味はある。

だが、「何となく役に立ちそう」「履歴書が寂しいから」という理由で民間資格を取るくらいなら、私はもうやらない。

先ほどのウェブ解析士の営業メールは、そのまま削除した。

懐かしくはあった。

資格はとっくに失効したが、メールだけが今も熱心に営業してくる。