AIはなぜ「日本」が好きなの?

最近、X(旧Twitter)でちょっとした話題になっている話をご存知だろうか。

それは、

「AIに質問をすると、やたらと日本の例を出してくる」

という現象だ。

「確かにAIとの会話で日本の話が出てくることが多いかも?」

と感じた方いるかね?

私は日本人なんで、日本の例が出てくるのはあたりまえなので実際はわからない。

実はこれ、イギリスの大学などの研究者による査読前の論文でも指摘されている、なかなか興味深い話題なんだ。

正確には、AIに地域を指定しない文化的な質問をすると、日本をサンプルにすることが多いということ(アメリカよりも!)

今回は論文が正しいとして、なぜAIがここまで「日本推し」になってしまうのか、その背景と、ネット上で飛び交っている面白い仮説を整理してみたいと思う。

なぜ「日本」が選ばれるのか? 論文の視点

論文の分析によると、AIの学習データそのものに「日本を贔屓するような加工」が施されているわけではないそうだ。

それにもかかわらず、回答の中で日本が登場する頻度が高い。

つまり、

「AIが何らかの理由で日本を説明用サンプルとして選びやすい」

という現象が起きていることになる。

もちろん、AIに国籍も感情もない。

しかし、大量のデータから学習した結果として、ある種の「説明しやすいパターン」が形成されている可能性はある。

では、なぜ日本なのだろうか。

ネット上で見かけた興味深い説を3つ紹介する。

ケース1:サブカルチャーという共通言語

まず有力なのが、日本のアニメやゲームなどのサブカルチャーの存在だ。

インターネット上には膨大な日本関連コンテンツが存在する。

アニメ、ゲーム、漫画、フィギュア、コスプレ、ライトノベル……。

好き嫌いは別として、世界中の人が何らかの形で触れたことがある文化だ。

AIが「外国の例」を出そうとしたとき、

「日本なら多くの人が何となくイメージできる」

という状況は確かにありそうだ。

知らない国の制度を説明されるより、

「日本ではこうだ」

と言われた方が伝わりやすい。

学習データの量という意味でも、日本はかなり強いポジションにいるのだろう。

ケース2:アメリカにとっての魅力的な異文化

二つ目は、歴史的な立ち位置だ。

現在の大規模言語モデルの多くはアメリカ企業によって開発されている。

その視点から見ると、日本は少し特殊な存在だ。

文化や言語は大きく異なる。

しかし政治的には友好的で、経済的にも先進国。

しかも情報が豊富でアクセスしやすい。

「異文化の例」を出したいときに非常に使いやすい存在なのだ。

アメリカから見た異文化といえば中国や中東の国もありそうだが、政治的な事情や情報へのアクセス制限などもあり、日本の方が説明しやすい対象になっているのかもしれない。

ケース3:最強の「安全パイ」説

個人的に一番面白いと思ったのがこの説だ。

「日本は無害だから選ばれている」

というもの。

AIは政治や宗教、民族問題などのセンシティブなテーマで不用意な発言をしないよう調整されている。

外国の例を出そうとして、

「その国の説明は偏見だ」

「歴史認識が違う」

「政治的に問題だ」

と炎上するのは避けたい。

その点、日本は非常に扱いやすい。

知名度は高い。

情報量も豊富。

先進国としての事例も多い。

それでいて、国名を出しただけで大炎上することは比較的少ない。

つまり、

AIにとって非常に優秀な安全パイ

というわけだ。

もちろん日本人からすると少し複雑だが、確かに説明用サンプルとしては便利な条件が揃っている。

ただし、これも中国が独裁国家で情報鎖国をしてるというのも影響が大きそうだ。中国ユーザの意向を反映したら日本をあまり例にしなくなるかもしれない。

結論:AIにとって日本は「心地よい共通言語」

AIは悪意を持って日本を選んでいるわけではなく、

「誰にでも説明しやすく、比較的安全に話題にできる国」

として日本をテンプレート化している可能性がある。

もちろん、これは現時点では推論に過ぎない。

しかし、AIの回答を観察することで、逆に世界が日本をどう見ているのかが少し見えてくるのは面白いところだ。

こうして考えると、私たちはAIの回答を読んでいるつもりで、実は世界が日本をどう見ているのかを読んでいるのかもしれない。

日本に住んでいると気づかないが、海外から見ると日本は思った以上に「説明に使いやすい国」なのだろう。

知名度があり、独自の文化があり、それでいて比較的論争になりにくい。

AIにとっては、なかなか都合の良い存在なのかもしれない。

ただ、そのうちAIがさらに賢くなって、

「日本を例に出すのは安直だ。今回はサントメ・プリンシペで説明する」

などと言い始めたら、それはそれで困る。

私はサントメ・プリンシペのことをあまり知らないので。

PS. ケース3:最強の「安全パイ」説 でほぼ確定

この文章を書き終え、最後のチェックをAIにさせているときに、勝手に

ただし、これも中国が独裁国家で情報鎖国をしてるというのも影響が大きそうだ。中国ユーザの意向を反映したら日本をあまり例にしなくなるかもしれない。

という1文をAIはまるごと削除した。これは ちょっとでも政治的、文化的に摩擦が出そうなものは全てNG というルールがAIにあるということだろう。そうなると日本はまさに「安全パイ」として消極的に選ばれてると言える。

AIよ、勝手に文章を変えないでくれ