【現場のリアル】毎日AIを使う僕が「AI驚き屋」の煽り記事を完全スルーする理由
先日、YouTubeでAI系の講師ビジネスをしている人の動画を見ていた。
AIの使い方を教えたり、企業向けに研修をしたりするタイプの人だと思う。
その人が結構な辛口で、「AI驚き屋」の話をしていた。
新しいAIが出るたびに、
「全人類震撼!ヤバすぎるAIが誕生!」
「これを知らないと完全に時代遅れ!」
と大騒ぎする人たちのことだ。
その講師いわく、こういう人たちはAIを実務でほとんど使っていないケースも多いらしい。
海外の記事やSNS、公式デモを見て、「これはヤバい」と動画にする。数日後には、また別のAIを見つけて「今度こそ世界が変わる」と騒ぐ。
かなり辛口な意見だったが、毎日AIを仕事で使っている私としては、妙に納得してしまった。
というか、毎日AIを使っている人間ほど、そんなに新しいAIを追いかける暇はない。
新しいAIを追いかけるだけで一日が終わる
私は仕事でほぼ毎日AIを使っている。
特にプログラミングでは、AIはすでに便利ツールというより、開発環境の一部になっている。
だからこそ分かるのだが、一つのAIを実務レベルで使えるようにするだけでも結構面倒だ。
どこまで雑に指示していいのか。何を任せると暴走するのか。どの作業では信用できて、どこから人間が確認すべきなのか。
これは公式サイトを30分読んでも分からない。
実際の仕事に放り込んで、何度か失敗させて、ようやく分かってくる。
私もClaude Codeを毎日のように使っているが、いまだに「こいつ、ここまで任せると危ないな」と思うことがある。
新しいAIが出るたびに全部試していたら、仕事どころではない。
AIを使って生産性を上げるはずが、AIの比較検証だけで一日が終わる。
それでは何のためにAIを使っているのか分からない。
「すごいデモ」と「仕事で使える」は別の話
AI驚き屋の情報を私がほとんど見なくなった最大の理由は、ここにある。
実際に使った話が少ない。
公式デモでは当然、一番うまくいった場面が出てくる。
複雑な指示を一発で理解した。数分でアプリを作った。人間なら数時間かかる仕事を一瞬で終わらせた。
それ自体が嘘とは限らない。
問題は、それが仕事の成果物として動くのかという話だ。
ソースコードは保守可能なレベルなのか。既存の巨大なプロジェクトでも使えるのか。途中で仕様変更したら壊れないのか。
現場で知りたいのは、むしろそちらだ。
私はAIにコードを書かせているので、成功例より失敗例のほうが気になる。
「こんなアプリが5分でできました!」
と言われても、正直あまり興味がない。
そのコードを半年後に改修できるのか。
CIに通るのか。
既存システムに入れた瞬間、謎の副作用を起こさないのか。
そこまで使って初めてレビューだと思う。
AI驚き屋は、現代のツルハシ売りなのかもしれない
この話を聞いて、ゴールドラッシュの「ツルハシ売り」を思い出した。
金を掘りに来た人間全員が金持ちになったわけではない。
しかし、金を掘りに来た人たちへ道具や服を売った人間は確実に儲けた。
今のAIブームも少し似ている。
「このAIはヤバい」
「今すぐ使わないと遅れる」
「AIを使えない人は仕事を失う」
そう言って人を集めれば、動画の再生数は伸びる。ニュースレターの登録者も増える。その先にスクールやコンサルを置くこともできる。
別にビジネスとして悪いとは思わない。
私もブログを書いているので、人の注意を引くタイトルの重要性くらいは分かる。
ただ、「AIを使って稼いでいる人」と「AIの話をして稼いでいる人」は分けて見たほうがいい。
似ているようで、やっている仕事はかなり違う。
私は今日も同じAIを使う
という感じで、AIの驚き屋の動画はクリックしなくなったし、新しいサービスを試すこともない。
もちろん大きなモデルが出れば試す。
明らかに性能が違えば乗り換える。
しかし、聞いたこともないAIサービスが出るたびにアカウントを作ることはなくなった。
煽り記事を10本読むより、今使っているAIの癖を一つ覚えたほうが仕事は早く終わる。
たぶんAI驚き屋は、明日も「世界を変えるAI」を見つけてくる。
そして来週には、別のAIが世界を変えている。
私はその動画を横目に、今日も同じAIを使ってコードを書いている。
今のところ、そのほうが仕事は進む。