オリジナリティなんていらない。凡人は成功者を真似すればいい

20年ほど前、MBAでブルーオーシャン戦略を勉強した。

競争の激しい市場を避け、まだ競争相手のいない新しい市場を作る。理屈としては非常にきれいなのだが、当時から少し違和感があった。

そんな市場を、凡人が簡単に見つけられるのだろうか。

世界中には頭のいい人が山ほどいる。大企業は多額の金を使って市場調査をしているし、投資家や起業家は毎日のように新しいビジネスを探している。

その中で、私がある日突然「誰も気づいていない市場を発見した」となる可能性は、かなり低い気がする。

もちろんゼロではない。宝くじが当たる可能性もゼロではない。

「誰もやっていない」は本当にチャンスなのか

起業や個人開発の話では、「まだ誰もやっていないサービスです」という言葉をよく聞く。

本人は自信満々なのだが、私はむしろ不安になる。

なぜ誰もやっていないのだろう。

本当に世界中の人間が気づかなかったのか。それとも過去に何百人も同じことを考え、調べた結果「これは金にならない」と捨てただけなのか。

世の中には自分より頭のいい人がいくらでもいる。少なくとも私は、自分だけが世紀の大発見をしたと信じられるほど自信家ではない。

Googleで検索して競合が見つからないと喜ぶ人がいるが、市場が空いているのではなく、市場そのものが存在しない可能性もある。

誰も泳いでいない海を見つけて「ブルーオーシャンだ」と飛び込んだら、魚が一匹もいなかった。

個人開発では珍しくない話だと思う。

誰かが稼いでいる。それだけでかなり安心できる

逆に、すでに誰かが稼いでいる市場はわかりやすい。

そこには金を払う顧客がいる。価格帯もわかるし、どこで集客しているのかも観察できる。

先に始めた人たちが、自分の金と時間を使って市場調査をしてくれたようなものだ。

だったら、それを研究すればいい。

「競合が多いから参入できない」という話もよく聞くが、個人が市場シェア30%を取る必要などない。

月10万円稼ぎたいのであれば、月1万円を払う顧客が10人いればいい。市場全体から見れば誤差のような数字だ。

それなのに、なぜか個人ほど「この市場は競争が激しいので参入が難しい」と大企業の経営企画室のようなことを言い始める。

あなたは上場でもするつもりなのか。

凡人が狙うべきなのは市場制覇ではない。先行者が取りこぼしている客の一部を取れれば、それで十分だ。

日本も中国もキャッチアップで成長した

真似という言葉は印象が悪い。しかし、経済の歴史を見ればキャッチアップ戦略は普通に使われてきた。

戦後の日本は欧米の技術や製品を研究し、それをより安く、より高品質にすることで世界市場に進出した。中国も先進国の技術やビジネスモデルを取り入れながら急速に成長してきた。

もちろん、その過程で独自の技術や強みを持つ企業も生まれている。

重要なのは順番だと思う。

最初から世界で誰も考えたことのないものを作ろうとしたのではなく、まず先行者を研究して追いつき、そこから改善して自分たちの強みに変えていった。

国家レベルですら使われてきた戦略なのに、なぜ副業を始めたばかりの個人が、初日からイノベーターになろうとするのだろう。

少し自分を高く評価しすぎではないか。

オリジナリティ探しは、行動しないための言い訳になる

「まだアイデアが固まっていない」

「自分らしいサービスを考えている」

「他との差別化ができていない」

そう言いながら半年が過ぎ、一年が過ぎる。

一方で、成功している人を参考にしてさっさと商品を出した人は、その間に何度も失敗している。価格を変えたり、売り方を変えたりしながら、少しずつ客の反応を理解していく。

どちらが前に進んでいるかは明らかだ。

オリジナリティという言葉は非常に便利である。

まだ自分らしさが見つかっていないと言えば、商品を出さなくていいし、営業もしなくていい。当然、失敗もしない。

稼げていないという現実を「クリエイティブな悩み」に変換できる。

少し意地の悪い言い方をすれば、オリジナリティ探しは、行動しない人にとって非常に都合のいい趣味なのだと思う。

私も普通に真似している

私自身、英語でブログを書き、LinkedInで海外向けに発信している。

私が考えた方法ではない。すでに同じような方法で仕事を取っている人がいるから、自分にも使えるのではないかと思って始めた。

AIを使った開発も同じだ。うまく使っている人の方法を見て、自分の仕事に取り入れる。合わなければやめる。

そこに「私だけのAI開発哲学」など必要ない。

まず結果が欲しい。

哲学は結果が出た人が語ればいい。

「自分にしかできないことは何だろう」と半年考えるくらいなら、同じ分野で稼いでいる人を10人調べたほうがいい。

何を売り、いくらで売り、どこで客を集めているのか。その構造を徹底的に見る。

もちろん商品や文章をそのままコピーするという話ではない。真似するのは、成功しているビジネスの型である。

同じ型を使っても、経歴や能力や性格が違えば、やっているうちに勝手に差が出てくる。その差を後からオリジナリティと呼べばいい。

最初から自分らしさを探す必要などない。

少なくとも私は、ブルーオーシャンを探して誰もいない海を漂流するつもりはない。

隣で魚を釣っている人がいるなら、まず何を使って釣っているのかを見る。

魚を一匹も釣っていない人が「自分らしい釣り方」を考えている姿は、本人が思っているほど格好よくない。